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文献紹介

個人的に好きな文献(教科書)を勝手に紹介してます.

【産業組織論のテキスト】

<初学者・学部生向け>
- 泉田成美・柳川隆(2009)『プラクティカル 産業組織論』,有斐閣.
コメント:サイズも内容も非常にコンパクトで,日本語のテキストとしては大変良くできていると思います.学部の「産業組織論」の講義用テキストとしては一番使いやすいのではないだろうか.事例も豊富に取り入れられているところが素晴らしい.

- 長岡貞男・平尾由紀子 (2013) 『産業組織の経済学 第2版』, 日本評論社.
コメント:他の産業組織論の教科書と違って,けっこう扱う範囲が広い印象があります.産業組織論というよりは、企業経済学のテキストかな?という気がします.コーポレート・ガバナンス,ジブラの法則,知的財産制度,直接投資などが扱われており、ビジネスエコノミクスのテキストとしても良いかもしれない.優れたテキストであることは間違いない.強いて言えば,もう少し説明が丁寧(というより平易)であった方がうれしい.

<学部上級生~大学院生向け>
- 小田切宏之 (2001) 『新しい産業組織論』, 有斐閣.
コメント:上記2冊に比べると明らかに難易度が高くなる.私が評するまでもなく,非常にわかりやすい説明で,学部上級~大学院レベルの日本語の教科書でこれ以上のものはないと思います.

<競争政策に興味のある方>
- 小田切宏之 (2008) 『競争政策論』, 日本評論社.
コメント:このテキストがまた素晴らしい.産業組織論を競争政策の事例を通して学ぶような構成になっている.経済学だけでなく,法学部の学生や実務家にも読んでもらいたい.

備考:英語のテキストもいろいろありますが,これといって私は好きな産業組織論のテキストがありません.強いて言えば,Scherer and RossによるIndusrial Market Structure and Economic Performanceが好きですが,絶版になっています.もし産業組織論の授業で英語のテキストを使うとすれば,下記のBesanko et al. (2009) を使いたい.


【企業経済学および企業戦略論のテキスト】

<初学者・学部生向け>
- 小田切宏之 (2010) 『企業経済学 第2版』,東洋経済新報社.
コメント:コーポレートガバナンス,企業の境界,業界分析,イノベーション,広告・ブランド,合併・買収・提携,人事労働システムなど企業の戦略や組織に関する経済分析に基づくテキストです.やや分厚いテキストで持ち運びには大変かもしれませんが,丁寧に説明していて,初学者・自習用にも良いと思います.ただし,初版の方が使いやすいという説あり!です.

- Besanko, David., David Dranove, Mark Shanley, and Scott Schaefer (2009) Economics of Strategy. 5th Edition. Wiley.
コメント:言うまでもなく,企業戦略のテキストで最も優れたテキストです.持ち運びは困難なほど大きなテキストではありますが(それでも旧版よりは薄い),内容は非常にわかりやすく,事例が豊富で最新の実証分析の紹介など読んでいて飽きない内容になっています.日本語での訳本は出ていますが,評判が極めて悪いようなので,おそらく原書を読む方がいいだろうと思います.学部ゼミでの輪読用に良いでしょう.

- Barney, Jay B (2010) Gaining and Sustaining Competitive Advantage. 4th Edition. Pearson Education.
 (日本語訳版) バーニー(2003) 『企業戦略論(上)(中)(下)』,ダイヤモンド社.
コメント:上記のテキストと比較しても,あまり劣らないほど素晴らしいテキストです.マネジメントの研究者が書いているのですが,経済学(産業組織論)をベースとした議論も豊富に取り入れられています.日本語訳本も優れていると思います.学生で経営戦略の経済分析に興味のある方は,この本をおすすめします.その後,ぜひ,上記のEconomics of Strategyにチャレンジしてください.


【イノベーションおよびアントレプレナーシップの経済分析のテキスト】

- スザンヌ・スコッチマー (著), 青木 玲子 (監修), 安藤 至大 (翻訳) (2008)『知財創出―イノベーションとインセンティブ』,日本評論社.
コメント:私が知る限り,この本が最も優れた「イノベーションの経済分析」のテキストだと思います.イノベーションは,範囲が広く,様々なアプローチによる分析が存在します.そのため,テキストといっても扱うトピックがバラバラというのが現状です.この本は,インセンティブ制度(知的財産制度)の歴史的概観,その理論的背景,特許データを用いた最新の研究などイノベーションの経済分析で重要な事項を網羅していて,なおかつ非常に厳密な議論がされていて感動します.最終章には青木玲子先生の追加執筆が盛り込まれている日本語版がおすすめです.

- Parker, Simon C. (2009) The Economics of Entrepreneurship. Cambridge University Press.
コメント:「アントレプレナーシップの経済分析」のテキストは,この本しかありません.感動モノのテキストです.特に,サーベイが素晴らしすぎる.こういうテキストを待っていました.ここで説明するより実際に手に取ってください.Parkerは理論家ですが,アントレプレナーに関するこれまでの理論に加え,それがどのように実証的に分析されてきて,何が明らかにされ,何が問題として挙げられ,今後どのような課題が取り組まれるべきなのかについて明快に議論されている.
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